『沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える』
『沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える』
高橋 哲哉 著、集英社新書、2015年
書評1:
2016年からFIRBO(福岡の会)の活動に参加した評者にとって、本書は導きの書であり、バイブルである。「日本人よ!今こそ沖縄の基地を引き取れ」との沖縄の声に、「日本人は「本土」に米軍基地を引き取る」ことによって応答するべきことを宣言した書である。
日米安保条約を約8割という圧倒的多数の「本土」の国民が支持している現状を踏まえれば、「県外移設は基地を日米安保体制下で本来あるべき場所に引き取ることによって、沖縄差別の政策に終止符を打つ行為である」とし、「「平和」や「安保廃棄」を求めるなら、基地を引き取りつつ自分たちの責任でそれを求めるべきである」と、その論旨は明快である。
また、米軍基地の沖縄への集中の歴史と構造が明らかにしているように、「本土」における反米感情と反基地運動の高まりが、結果として米軍基地を沖縄に集中させた。まさに引き取り運動は、米軍基地問題を自分ごととして考える重要な契機となることを示唆してくれている。(吉村慎一@福岡)
書評2:
「本土」側の知識人として初めて、知念ウシ氏らの沖縄からの「県外移設」という声に向き合った一冊。在日米軍基地を必要としているのは日本政府だけではなく、8割が日米安保体制を支持する「本土」の主権者国民であり、県外移設とは、基地を日米安保体制下で本来あるべき場所に引き取ることによって、沖縄差別の政策に終止符を打つ行為であると論じています。
日米安保体制に反対してきた戦後の革新勢力や反戦平和運動についても、憲法9条を護りながら沖縄差別の解消に踏み出すことはしなかったとし、「基地は沖縄にも日本のどこにも要らない」という主張によって、沖縄からの県外移設に立ちはだかってきた問題点も指摘。「日本人よ、沖縄の基地を引き取りなさい!」という切実な沖縄の声に応答した、最重要な論考です。(里村和歌子@福岡):『沖縄の米軍基地を「本土」で引き取る!』(コモンズ、2019年)より転載
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